SNSなどで「オキシ漬け」として大人気のオキシクリーン、本当に万能で私も色々な掃除に使っています。その流れで、「この強力な洗浄力で、お風呂の追い焚き配管(風呂釜)も掃除できるんじゃない?」と考える方も多いんじゃないかなと思います。
でも、ちょっと待ってください。SNSでは簡単そうにやっている投稿も多いですが、いざ自宅の高価な給湯器で試すとなると、やっぱり不安ですよね。「オキシクリーンで風呂釜掃除をしたら壊れる」という話を耳にして、慌てて検索されたのではないでしょうか。
実際、その不安にはちゃんとした理由があって、特にエコキュートをお使いのご家庭では、メーカーが非推奨としているなど、知っておくべき多くの注意点があります。オキシクリーンは配管内部の金属を腐食させたり、剥がれた汚れで詰まりを引き起こすリスクが指摘されているんです。
メーカーが推奨している「ジャバ」との違いを理解せず、自己責任で試した結果、「お湯が出なくなった」「エラーが消えない」なんてことになり、高額な修理費用が…なんて事態は絶対に避けたいですよね。
この記事では、オキシクリーンで風呂釜が壊れると言われる具体的な理由や、1つ穴・2つ穴タイプ別の正しい掃除のやり方、そして故障リスクを避けるための安全な使い方について、洗剤に興味がある私なりの視点で分かりやすく整理していきますね。
- オキシクリーンで風呂釜が壊れるとされる2つの主な原因
- メーカーがオキシクリーンの使用を推奨しない理由
- エコキュートで特に危険とされる背景
- 故障させないための安全なオキシクリーンの使い方と境界線
オキシクリーンで風呂釜が壊れる2大原因

まず結論から言うと、「オキシクリーンを使って追い焚き機能で風呂釜掃除」をするのは、私も強く非推奨だと考えています。これは単なる噂ではなく、ちゃんとした理由があるんです。
オキシクリーンは、衣類や食器、浴槽のフタやイスといった「小物の漬け置き」には最高の洗剤です。でも、給湯器やエコキュートのような内部にセンサーやポンプが詰まった精密機械の内部洗浄には、残念ながら設計されていないんですね。
オキシクリーンで風呂釜が壊れるとされるのは、主に「物理的」な詰まりの原因と、「化学的」な腐食の原因、この2つの大きなリスクがあるからなんです。
汚れによる配管詰まりのリスク
第一のリスクは、オキシクリーンの「強力すぎる洗浄力」が、逆に裏目に出てしまうパターンです。
長年掃除していない追い焚き配管の中は、実は私たちが想像する以上に汚れています。主な汚れはこんな感じです。
- 皮脂汚れ:家族全員の体から出た皮脂。
- 水垢(スケール):水道水に含まれるカルシウムやマグネシウムが固まったもの。
- 入浴剤の残渣:色や香りの成分が蓄積したもの。
- バイオフィルム:これらが混ざり合い、雑菌が繁殖して形成されるネバネバした膜。
オキシクリーンは、40℃〜60℃のお湯で活性化する強力な酸素の泡とアルカリの力で、これらの頑固な汚れを「一気に剥がし取る」のが得意です。
「溶かす」のではなく「剥がす」ことの危険性
ここが一番の問題で、オキシクリーンの主な作用は、汚れを「化学的に溶かして流す」のではなく、「物理的に剥がして浮かす」点にあります。
何年もかけて配管内部に安定して(?)こびりついていた汚れやサビの層が、強力なパワーで一気にベリベリッと剥がれるイメージですね。その結果、剥がれ落ちた大量の固形物(バイオフィルムの塊やサビの欠片)が、細い配管の曲がり角や、給湯器内部の精密な循環ポンプ、熱交換器の細い経路に詰まってしまうことがあるんです。
「掃除をしたら、逆にお湯が出なくなった」「追い焚きエラーが出る」という最悪の事態は、この物理的な詰まりが原因であることが多いんです。
特に、中古物件に入居してから一度も配管洗浄をしたことがない、というお家は、配管内部にどれだけの汚れが蓄積しているか分からないため、非常にリスクが高いと言えます。
銅など配管の腐食リスク
第二のリスクは、もっと深刻かもしれません。配管の「素材」そのものを化学的に攻撃してしまう「腐食」のリスクです。
なぜ配管に「銅」が使われているのか
一般的な住宅の追い焚き配管には、熱の伝わりが良く(熱伝導率が高く)、加工もしやすい「銅(どう)」が使われていることが多いです。(参照:Corrosion Reviews 論文)
熱交換器など、給湯器の心臓部にも使われる重要な金属ですね。
しかし、この銅は非常に優れた金属である反面、水質や化学薬品の影響を受けやすいという弱点も持っています。
オキシクリーンが金属を攻撃する化学的理由
オキシクリーン(主成分:過炭酸ナトリウム)は、お湯に溶けると以下の2つに分解されます。
- 炭酸ナトリウム:これは「強アルカリ性」の液体になります。
- 過酸化水素:これは「酸化剤」(漂白剤)として働きます。
(参照:SD SG.org 論文)
つまり、追い焚きでオキシクリーンを循環させることは、配管内部を「高温・強アルカリ・酸化」という、金属にとって最も過酷な液体で満たすことになるわけです。
オキシクリーンの製品パッケージ自体にも、使用できない素材として「金属全般(特にアルミ)」とハッキリ書かれているのを見たことがあるかもしれません。銅はアルカリや酸化に弱く、高温でこの溶液に長時間さらされると、化学反応を起こして腐食(サビ)が急速に進んでしまう可能性があります。
目に見えない配管内部で腐食が進み、最悪の場合、配管に小さな穴が開く(ピンホール)なんてことになったら…考えるだけでも怖いですよね。
メーカーが使用を非推奨とする理由
こうしたリスクがあるため、給湯器やエコキュートを製造している大手メーカー(パナソニック、三菱電機、ノーリツ、日立など)の多くは、風呂釜洗浄剤として特定の商品を指定しています。
そして、その指定リストに「オキシクリーン」の名前はまず含まれていません。なぜメーカーがここまで厳しく制限するのか、消費者としては気になりますよね。その最大の理由は「保証の問題」と「機器の安全性」です。
最大の理由:メーカー保証の対象外となるリスク
もし、メーカーが指定していない洗浄剤(オキシクリーン)を使ったことが原因で給湯器が故障したと判断された場合…。
たとえ購入したばかりで保証期間内であっても、「お客様の不適切な使用」とみなされ、保証対象外と判断される可能性が極めて高いです。
給湯器の修理や交換には、場合によって数十万円という高額な費用がかかることもあります。その費用が全額自己負担になるリスクを負ってまで、オキシクリーンを使うメリットがあるか…というと、私は無いと思います。
実際に、多くのメーカーが取扱説明書や公式FAQサイトで、指定外の洗浄剤の使用について注意喚起しています。例えば、パナソニックの公式サイトでも、指定外の洗浄剤(酸素系漂白剤など)は、機器の故障や配管を傷める原因となるため使用しないよう記載されています。(参考:パナソニック公式サイト「エコキュート:よくあるご質問」※ページ内容が変更される場合があります)
メーカーが推奨する洗浄剤とオキシクリーンの違いを、私なりにまとめてみました。
| 洗浄剤の種類 | 主な洗浄メカニズム | 配管への影響 | メーカーの推奨 |
|---|---|---|---|
| オキシクリーン (過炭酸ナトリウム) | アルカリと酸素の泡で、汚れを「物理的に剥がす」力が強い。 | 金属(銅)への腐食リスク(高)。剥がれた汚れの詰まりリスク(高)。 | 非推奨(保証対象外のリスク) |
| ジャバ(1つ穴用) (過炭酸塩+キレート剤) | 酸素の泡に加え、キレート剤が水垢を「化学的に溶かす」。界面活性剤が皮脂汚れを「乳化させて流す」。 | 配管洗浄に特化して設計されており、詰まりや腐食のリスクを最小限に抑えている。 | 推奨(多くのメーカーが指定) |
| メーカー純正洗浄剤 | ジャバと同様に、自社の機器(配管素材、センサー等)に最適化された成分で設計されている。 | 最も安全性が高い。 | 強く推奨 |
エコキュートは特に危険
「うちは最新のガス給湯器じゃなくてエコキュートだから大丈夫かな?」と思うかもしれませんが、実はエコキュートは、従来のガス給湯器よりもっと危険だと私は考えています。
エコキュートは、CO2で効率よくお湯を沸かす、非常に高性能で複雑な「精密機器」です。ガス給湯器が比較的シンプルな構造なのに対し、エコキュート内部はデリケートな部品の塊なんです。
狙われる精密部品
オキシクリーンの強力な「アルカリ」と「酸化力」は、以下のようなエコキュート特有の精密部品に悪影響を与える可能性があります。
- 特殊なコーティング:熱交換器などには、効率を高めるための特殊なコーティングが施されている場合があります。これが剥がれると性能低下に直結します。
- 微細なセンサー類:水位や温度を検知する精密なセンサーが、アルカリ成分で誤作動を起こしたり、酸化して壊れる可能性があります。
- 樹脂部品・ゴム製パッキン:配管の接続部には、水漏れを防ぐために多くのゴム製パッキンや樹脂部品が使われています。強アルカリはこれらを硬化させたり、もろくする(劣化させる)性質があり、将来的な水漏れの原因にもなりかねません。
高性能な機器ほど、指定されていない「異物」の混入に弱いんですね。
ジャバが推奨される理由
では、なぜメーカーはこぞってジョンソン社の「スクラビングバブル ジャバ(1つ穴用)」などを推奨するのでしょうか。主成分はオキシクリーンと同じ「過炭酸塩」(酸素系)なのに、不思議に思いますよね。
これは、主成分は同じでも、脇役となる「添加剤」の設計思想が根本的に違うからなんです。
- オキシクリーン:衣類や食器など、幅広い汚れを「剥がす」力に特化。
- ジャバ(1つ穴用):風呂釜配管の水垢や皮脂汚れを「溶かして流す」ことに特化。
キレート剤の力:「溶かす」
ジャバの成分表を見ると、「キレート剤(クエン酸塩など)」と書かれています。これが非常に重要です。
キレート剤は、水垢やスケールの原因である水道水中のカルシウムやマグネシウムといった金属イオンを、化学的にカニのハサミのようにガッチリと掴み込み、水に溶けやすい形に変える働きがあります。これにより、固形のまま剥がして詰まらせるリスクを減らし、汚れを「溶かして」配管から排出させることができるんです。
界面活性剤の力:「乳化させる」
さらに「界面活性剤」も配合されています。これは、皮脂汚れのような「油」を水と混ざりやすい状態(乳化)に変える働きがあります。これにより、配管内部にこびりついた皮脂汚れを浮き上がらせ、スムーズに洗い流す手助けをします。
つまりジャバは、単に酸素の泡で汚れを「剥がす」だけでなく、キレート剤で「溶かし」、界面活性剤で「流しやすくする」、まさに配管洗浄に最適化された専用品なんですね。これがメーカーに推奨される最大の理由です。
オキシクリーンと風呂釜が壊れる問題の対策

ここまで聞くと「オキシクリーンはお風呂掃除には一切使えないんだ…」とがっかりしてしまうかもしれませんが、そんなことはありません!
再三お伝えしている通り、問題なのは、オキシクリーン溶液を「追い焚き配管・給湯器内部に入れてしまう」ことです。高価な給湯設備を守るためには、その「境界線」を正しく理解し、「使い分け」をすることが本当に大切ですよ。
危険な追い焚き機能の使い方
まず、オキシクリーンを浴槽に溶かした状態で、絶対に押してはいけないスイッチがあります。これらは給湯器(風呂釜)の故障への直行便だと覚えておいてください。
【厳禁】以下の機能は絶対に使わないでください!
- 追い焚き (浴槽のお湯を吸い込み、給湯器で温め直して戻します。オキシ溶液が配管と給湯器内部を直撃します。)
- 風呂自動・自動保温 (設定温度を保つため、お湯の温度や水位をチェックします。その際にお湯を吸い込むため、オキシ溶液が侵入します。)
- 高温たし湯 (機種によりますが、配管の経路を一部共有している場合があり、リスク回避のため避けるのが賢明です。)
これらの機能はすべて、浴槽のお湯を配管内に吸い込む仕組みになっています。絶対に押さないように、家族にも周知しておくと安心ですね。
浴槽のオキシ漬け注意点
オキシクリーンを浴室で安全に活用する唯一の方法。それは、「浴槽を、単なる大きな漬け置き用の桶として使う」ことです。この方法なら、溶液が配管や給湯器内部に入ることはないので、故障の心配は一切ありません。
お風呂のフタ、イス、洗面器、お風呂用おもちゃ、石鹸置きなど、浴室の小物をまとめてキレイにできますよ。
安全な「オキシ漬け」の手順
- 追い焚き機能は絶対に使わず、浴槽の循環口(穴)より高い位置まで、40℃~60℃のお湯を溜めます。
- 規定量のオキシクリーン(日本版なら付属スプーン、アメリカ版なら適量)を投入し、泡立て器などでよく溶かします。
- お風呂のフタ、イス、洗面器、おもちゃなど、浴槽の素材(後述)に影響のない浴室小物を浴槽にすべて投入します。
- 2時間〜最大6時間ほど放置します。オキシクリーンの効果は最大6時間程度で失われるため、「一晩放置」は素材を傷める可能性があるだけで、洗浄力的にも意味がありません。
- 小物を取り出し、シャワーでしっかりすすぎます。汚れが残っていればスポンジで軽くこすります。
- 浴槽の栓を抜き、オキシクリーン溶液を排水します。浴槽もスポンジで軽くこすり、シャワーでしっかり洗い流して完了です。
オキシ漬けの重要注意点
配管以外にも、オキシクリーンを使う際にはいくつか重要な注意点があります。
【素材の確認(最重要)】
オキシクリーンは万能ではありません。以下の素材には使えないか、注意が必要です。
- 使用不可:大理石(人工大理石も含む)、天然木(ヒノキ風呂など)、アルミ製品、銅製品、革製品、畳。
- 注意が必要:ステンレス製の浴槽(変色や「もらいサビ」のリスクが報告されています。長時間の漬け置きは避けてください)、コーティング加工された浴槽。
ご自宅の浴槽の素材が分からない場合は、取扱説明書を確認するか、目立たないところで試す(推奨しませんが…)か、そもそも使用を避けるのが無難です。
【安全のための注意】
- ゴム手袋の着用:オキシクリーンは弱アルカリ性で、素手で触ると皮膚のタンパク質を溶かし、ひどい肌荒れの原因となります。必ずゴム手袋を着用してください。
- 換気の徹底:酸素が発生するため、作業中は必ず浴室の窓を開けるか、換気扇を「強」で回してください。
- 作り置き・密閉の厳禁:溶かした溶液は酸素の泡を発生し続けます。スプレーボトルなどに入れて密閉・密封して保存すると、容器が破裂する危険があるため、絶対にしないでください。作った溶液はすぐに使い切ってください。
1つ穴タイプの正しい掃除方法
では、肝心の風呂釜(追い焚き配管)の掃除はどうすればいいか。現代のほとんどの住宅はこの「1つ穴タイプ」(強制循環式)ですね。メーカー推奨の「ジャバ(1つ穴用)」などを使った、安全で正しい手順です。
1つ穴タイプの掃除手順(ジャバ使用)
- 浴槽に、穴(循環アダプター)の中心から5cm以上上になるようにお湯(または水)を張ります。 (※5cm以上なのは、洗浄中に空気を吸い込んでポンプが空回りするのを防ぐためです。残り湯でもOKですが、入浴剤入りは洗浄効果が落ちる可能性があるので避けたほうが無難です。)
- お湯に「ジャバ(1つ穴用)」を1袋全量投入し、軽くかき混ぜて溶かします。
- 約40℃に設定し(水からなら給湯温度を40℃に設定)、「追い焚き」ボタンを押します。 (※日立製など一部の機器では「循環洗浄」などの専用メニューがある場合もあります。取扱説明書を確認してください。)
- 約10分~15分間(製品の指示に従う)、追い焚き運転を続けて配管内を洗浄します。
- 運転を停止し、お湯(水)をすべて排水します。浴槽に汚れが出てきている場合は、シャワーでさっと流します。
- 【最重要:すすぎ】 排水後、もう一度、穴から5cm以上になるように浴槽に「水」を張り、再度「追い焚き」を5分程度運転させます。これを「すすぎ運転」と呼びます。
- この「すすぎ運転」こそが、配管内部に残った洗浄剤や、剥がれたけれど排出しきれなかった汚れを完全に洗い流すために、非常に重要です!この工程を省くと、汚れが再付着する原因にもなります。
- すすぎ運転が終わったら、水をすべて排水して完了です。フィルター(循環アダプターの網)も外して歯ブラシなどで掃除しておくと完璧ですね。
2つ穴タイプの正しい掃除方法
古いタイプのお風呂場やバランス釜などで見かける「2つ穴タイプ」(自然循環式)は、1つ穴タイプとは構造が全く異なります。ポンプで強制的にお湯を循環させる仕組み(1つ穴)ではなく、温かいお湯が上の穴から出て、冷めたお湯が下の穴に戻る「自然対流」を利用しています。
そのため、洗浄剤も「2つ穴用」を使い、手順も異なります。
2つ穴タイプの掃除手順
- まず、上の穴のフィルター(カバー)を外します。
- 下の穴を、古いタオルなどを(水が漏れないよう)ギュウギュウに詰めて一時的に塞ぎます。
- 上の穴から、「ジャバ(2つ穴用)」などの専用洗浄剤を適量(製品の指示に従う)入れます。粉末の場合は、少しお湯で溶かしてから入れると良いですね。
- 上の穴から、ホースやシャワーなどで配管内部に水(またはお湯)を勢いよく注ぎ入れ、洗浄剤を配管内に充満させます。
- 製品の指示に従い、一定時間(約30分~1時間)放置します。
- 放置後、下の穴のタオルを取り外し、上下両方の穴から、ホースなどで配管内部の洗浄剤や汚れを水圧で強く洗い流します。
- フィルターを元に戻して完了です。
安全な掃除の境界線
オキシクリーン以外の洗剤、例えば「重曹」や「クエン酸」といった、いわゆる「エコ洗剤」はどうなの?と気になるかもしれませんね。
結論から言うと、これらは「浴槽本体」や「浴室小物」の掃除には役立ちますが、風呂釜配管の内部洗浄には不向きだと私は思います。
- 重曹(アルカリ性):オキシクリーンと同様にアルカリ性のため、皮脂汚れや石鹸カス(赤カビのエサ)といった酸性の汚れに有効です。浴槽の湯垢掃除には良いですね。
- クエン酸(酸性):水垢や、鏡に付着するウロコ状の汚れ(ミネラル分)といったアルカリ性の汚れを中和して落とすのに有効です。
ただし、これらの洗浄力は、配管内部にこびりついた雑菌の塊(バイオフィルム)を除去するには不十分です。特にクエン酸は「酸性」であり、鉄や銅などの金属をサビやすくする(腐食させる)性質があるため、追い焚き配管の洗浄には絶対に使用すべきではありません。
専門業者という選択肢
「ジャバを使ってみたけど、まだお湯から臭いや汚れが出てくる…」
「中古物件に引っ越してきたから、前の人の汚れが気になる…」
「もう何年も掃除していないから、オキシクリーンでなくても詰まりそうで怖い」
こんな場合は、無理に自分で解決しようとせず、専門の業者に「配管クリーニング」を依頼するのが最も確実な選択です。
専門業者は、市販の洗剤とは異なる特殊な洗剤や、マイクロバブル、高圧洗浄など専用の機材を使って、配管内部のバイオフィルムやスケールを根本的に除去してくれます。費用はかかりますが、高価な給湯器をリスクにさらすよりは、賢明な判断だと思いますよ。
オキシクリーンで風呂釜が壊れるかの結論
最後に、この記事の結論をもう一度お伝えします。「オキシクリーンで風呂釜が壊れる」という懸念は、「追い焚き機能」を併用した場合、現実に起こり得る、ちゃんとした根拠のあるリスクだと言えます。
故障の主な原因は、「剥がれた汚れによる物理的な詰まり」と、「銅製配管の化学的な腐食」の2点です。特にエコキュートなどの精密な給湯機器は、メーカーがオキシクリーンの使用を推奨しておらず、故障した際には保証対象外となる重大なリスクを伴います。
高価な給湯設備を故障リスクから守り、オキシクリーンの優れた洗浄力を安全に活用するために、私から推奨する唯一の安全な方法は、以下の「賢い使い分け」を徹底することです。
【結論】オキシクリーンの賢い使い分け
- 風呂釜(追い焚き配管)の掃除には: メーカーが指定する「ジャバ(1つ穴用または2つ穴用)」や「メーカー純正洗浄剤」を、正しい手順(特に「すすぎ」を徹底)で使用する。
- 浴室小物(フタ、イス、洗面器、おもちゃ)の掃除には: 浴槽を「大きな桶」とみなし、「追い焚き機能」を絶対に押さずに、オキシクリーンでの「オキシ漬け」を行う。
この明確な「使い分け」こそが、オキシクリーンの素晴らしいパワーを安全に享受しつつ、大切なご自宅の設備を守る、一番確実で合理的な方法かなと思います。
この記事はあくまで私個人の知識や見解を、集めた情報に基づいてまとめたものです。洗浄剤の選定やお手入れの際は、最終的にはご自宅の給湯器・エコキュートの取扱説明書を必ず正としてご確認ください。
判断に迷う場合や、深刻な汚れが疑われる場合は、ご自身で判断せず、メーカーのサポートセンターや、信頼できる専門のクリーニング業者へ相談することを強くおすすめします。

