畳にできた茶色いシミは、飲み物のこぼれ、油シミ、犬の尿のシミなどさまざまな原因によって発生します。とくに時間がたったシミは落とし方に工夫が必要で、適切な洗剤や重曹などを使った方法でも対応を誤ると畳の繊維を傷めてしまうことがあります。
キッチンハイターを使えば落ちるのではと考える方もいますが、強い漂白成分が畳を脱色させる危険もあるため注意が必要です。また茶色いシミだと思っていたものが実は黒いカビだった、というケースもあるため、見分け方や適切な対処法を知っておくことが大切です。
本記事では、畳の茶色いシミの原因をはじめ、重曹や中性洗剤などを使った安全な落とし方、キッチンハイターの使用可否、さらに張替え費用の目安まで幅広く解説しています。
畳を長持ちさせたい方、すでに汚れてしまった畳を復元したい方は最後までご覧ください。
- 畳にできる茶色いシミの主な原因
- 茶色いシミの正しい落とし方と注意点
- 時間がたったシミや油シミへの具体的対処法
- 張替え費用を含めた修復と予防策
畳の茶色いシミの原因と対策
- 茶色いシミの主な原因とは?
- 時間がたったシミは落ちる?
- 犬の尿シミによる変色への対処法
- 油シミができやすい場所と対処法
- 黒いカビとの見分け方
- 畳の張替え費用はいくらかかる?
茶色いシミの主な原因とは?

畳に現れる茶色いシミの原因は多岐にわたりますが、最も一般的な原因は「液体の浸透」と「経年変化」です。特に、飲み物やペットの尿、食べ物の油分などが畳にしみ込むと、時間の経過とともに酸化が進み、茶色く変色してしまいます。
このような変色は、畳の表面だけでなく内部にも染み込んでしまっていることが多く、見た目以上に深刻な状態であることもあります。い草は天然素材であり、非常に吸水性が高いため、液体をすぐに吸収してしまう特徴があります。そのため、わずかな水分や油分でも、シミとして残りやすいのです。
また、畳の変色は紫外線による日焼けや、湿気によるカビ汚染も要因となります。特に窓際に敷かれた畳は日光による影響を受けやすく、紫外線で徐々に色が変わっていきます。こうした場合、変色が茶色や黄土色になることが多く、液体のシミと見分けがつきにくいこともあります。
さらに、畳の清掃に使った洗剤の残留や、不適切な掃除方法によっても茶色いシミが生じることがあります。例えば、強いアルカリ性や酸性の洗剤を使った結果、畳の繊維が化学反応を起こし、変色してしまうことがあるのです。
こうした茶色いシミは、放置すると見た目の劣化だけでなく、臭いの原因にもなります。清潔な居住環境を維持するためにも、日常の予防と早めの対処が重要です。
時間がたったシミは落ちる?
時間が経過した畳のシミでも、完全ではないにしてもある程度は落とすことが可能です。ただし、しみ抜きの難易度は「原因」と「経過時間」によって大きく左右されます。
たとえば、コーヒーやジュースなどの水溶性の液体であれば、時間が経っていても、洗剤や漂白剤を用いた方法である程度薄くすることができます。一方で、油分を含んだ食べ物やペットの尿などは、時間の経過とともに繊維の奥深くまで浸透しているため、通常の掃除では取り除くのが難しくなります。
具体的な対処法としては、まずシミの表面を水拭きし、その後に中性洗剤を薄めた液をタオルに含ませて叩くように拭き取ります。それでも落ちない場合は、洗濯用の酸素系漂白剤を使用してみるとよいでしょう。ただし、漂白剤の使用は畳の色落ちを招くことがあるため、目立たない部分で試してから行うのが賢明です。
いずれにしても、シミが定着する前の早期対応が最も効果的です。時間がたつことで汚れが酸化し、畳自体の色が変化してしまうと、完全な復元は難しくなります。したがって、シミができたらすぐに対応する習慣を持つことが、畳を美しく保つ第一歩です。

犬の尿シミによる変色への対処法

畳に犬の尿がしみ込んでしまった場合、非常に高い確率で茶色い変色や臭いが残ります。この変色はアンモニアやたんぱく質が含まれている尿が畳に吸収され、時間の経過とともに酸化することで起こります。
まず行うべきは、尿をこぼしてしまった直後の吸水処理です。乾いたタオルやペーパータオルで、畳の目に沿って優しく押さえるようにしながら、できるだけ多くの尿を吸収させましょう。このとき、決して擦らないようにしてください。尿が畳の奥へ広がってしまいます。
次に、重曹やベビーパウダーなどの粉状の吸収材をふりかけ、臭いや水分をさらに吸着させたあと、掃除機で吸い取ります。その後はアルコール除菌スプレーを使って除菌し、再び乾いた布で拭き取りましょう。
尿によるシミがすでに変色してしまっている場合は、中性洗剤を薄めた液で拭くか、漂白剤を使用してシミ抜きを試みます。ただし、色落ちのリスクがあるため、目立たない箇所でテストしてから行うべきです。最後に、風通しを良くして畳を完全に乾燥させることが重要です。湿気が残ると再びカビや臭いの原因になります。
なお、繰り返し尿をしてしまうような場合には、畳の上に保護シートやペット用マットを敷くことで再発を防ぐことができます。衛生面を保つためにも、対処だけでなく予防策も併せて考える必要があります。
油シミができやすい場所と対処法
油シミは、キッチン周辺やダイニングテーブルの下、あるいは食事をするリビングスペースなどで特に発生しやすいです。これらの場所では、調理中の油跳ねや、食べこぼしが原因となって畳に油分が染み込むことがあります。
油シミは水と違い、畳の繊維に粘着してしまうため、通常の水拭きでは取り除くことができません。まずはシミに対して粉末状の吸収剤(小麦粉や片栗粉、ベビーパウダーなど)をたっぷりと振りかけ、数分放置したあとに掃除機で吸い取る方法が効果的です。
その後、台所用の中性洗剤を水で薄めた液を柔らかい布に含ませ、畳の目に沿って叩くようにして汚れを移し取っていきます。直接こすらず、汚れをタオル側に移すように拭くのがポイントです。仕上げに水拭きをしてから乾いたタオルで乾拭きし、しっかりと乾燥させます。
また、畳の油汚れがひどく、時間が経過している場合には、洗浄力の高い畳専用クリーナーやアルコールスプレーを使用することである程度シミを薄くすることができます。ただし、使用する薬剤によっては変色のリスクがあるため注意が必要です。
油シミを予防するには、食事をする場所の畳の上にカーペットやビニールマットを敷く、または定期的な清掃と換気を心がけることが効果的です。
黒いカビとの見分け方

畳の茶色いシミと黒いカビは、見た目だけでは判別しづらい場合があります。しかし、適切な対処を行うためには、それぞれの違いをしっかりと理解しておく必要があります。
まず、黒いカビは「菌糸」と呼ばれるカビの根のような構造を持ち、畳の表面から奥深くまで侵食していることが多いです。触ってみるとザラつきや粉っぽさがあり、においもカビ特有の不快臭がします。特に湿気の多い場所や換気が不十分な部屋では、黒い斑点状のカビが広がりやすくなります。
一方、茶色いシミは液体が酸化することによって発生するもので、表面に粉や綿状のものが付着していない場合がほとんどです。また、カビと比べるとにおいも少なく、拭き取りによってある程度薄くなるのが特徴です。
もし見た目だけで判断がつかない場合は、アルコールスプレーを使ってみると良いでしょう。カビの場合は、アルコールによって表面が一時的に溶けたり、においが変化することがあります。逆に茶色いシミであれば、アルコールに反応せず、見た目もほとんど変化しません。
いずれの場合も、早期に対応することで状態の悪化を防ぐことができます。特にカビの場合は健康被害の恐れもあるため、発見次第、徹底した除去と防カビ処置を行うことが重要です。
畳の張替え費用はいくらかかる?

畳に発生したシミや変色があまりにも広範囲に及んでいる場合や、臭いが完全に取れないときは、最終手段として「畳の張替え」を検討することになります。張替えには複数の方法があり、それぞれで費用が異なります。
一般的には、畳の表面だけを新しいものに交換する「表替え」が最もよく選ばれる方法です。表替えの費用は、使用する畳表の品質によって変動しますが、1畳あたりおおよそ4,000円〜10,000円が相場となっています。
一方、畳の芯材(畳床)まで劣化している場合は、「新畳」への交換が必要となり、この場合は1畳あたり12,000円〜20,000円程度が目安です。また、既存の畳を裏返して再利用する「裏返し」という方法もありますが、これは元の畳表があまり汚れていない場合に限り、約3,000円〜6,000円程度で実施できます。
このように、畳の張替えには複数の選択肢があり、状態や予算に応じて適切な方法を選ぶことが大切です。また、業者によっては出張費や処分費が加算されることもあるため、事前に見積もりを取ることをおすすめします。
畳は住まいの快適さや清潔さに直結する重要な要素です。劣化や変色が進んでいる場合は、無理に自分で修復を試みるよりも、専門業者に相談して張替えを検討するのが賢明です。
畳の茶色いシミの落とし方を解説
- 洗剤を使った正しい落とし方
- キッチンハイターで取れる?
- 重曹は使っても大丈夫?
- 畳用のおすすめ洗剤5選
- 落とした後の乾燥とケア方法
- 畳を長持ちさせる予防策
洗剤を使った正しい落とし方
畳にできた茶色いシミを落とすには、適切な洗剤の選択と丁寧な作業が欠かせません。畳は天然素材であるい草が使われており、水分や薬剤に対してとても繊細です。まず覚えておきたいのは、強い洗剤やこすりすぎによって畳を傷めたり、色が抜けたりするリスクがあることです。
適切な手順としては、まずシミの原因を把握し、必要に応じて「中性洗剤」や「畳用専用クリーナー」を使います。雑巾に洗剤を染み込ませて、畳の目に沿って軽く叩くように拭き取りましょう。ここで重要なのは、こすらず叩くように拭くことです。力を入れすぎると、汚れが繊維の奥に入り込み、かえって落ちにくくなるからです。
また、シミの広がりを防ぐためにも、汚れの外側から内側に向かって作業すると効果的です。拭き取った後は、必ず水拭きをして洗剤の成分を残さないようにし、最後に乾拭きで水分を取り除くのを忘れないでください。これにより、畳の変色やカビの発生を予防できます。
キッチンハイターで取れる?
キッチンハイターのような塩素系漂白剤を畳の茶色いシミに使用することは、一見効果的に思えるかもしれませんが、実際には慎重な判断が必要です。キッチンハイターは非常に強力な漂白剤で、畳の色素だけでなく、繊維自体を傷めてしまう恐れがあります。
使用できるケースは、どうしても取れない頑固なシミやカビが原因である場合に限られます。ただし、濃度を十分に薄めた状態で、目立たない場所で試してから使うのが基本です。ハイターを使う際には、必ず換気を行い、ゴム手袋を着用してください。
また、畳の素材によっては色ムラや白っぽい脱色が起こる可能性も高く、塩素の臭いがしばらく残ることもあります。そのため、使用後は十分に水拭き・乾拭きをして、成分が畳に残らないよう注意を払う必要があります。
キッチンハイターは確かに強力な効果を発揮しますが、畳の美観や寿命を損なうリスクもあるため、できるだけ専用の畳クリーナーを優先することをおすすめします。

重曹は使っても大丈夫?
重曹は家庭でよく使われるナチュラルクリーナーの一つですが、畳の掃除においては注意が必要です。確かに、皮脂汚れや軽い油分などに対して効果的な働きをしますが、畳のい草に使用すると「アルカリ性」が原因で繊維の色が変化し、黄色や白っぽく変色してしまうリスクがあります。
特に茶色いシミに重曹を使った場合、シミが薄くなるどころか、周囲の畳の色と差ができてしまい、かえって目立ってしまうこともあります。また、水と混ぜてペースト状にすると、畳の隙間に入り込んで取りにくくなり、湿気が残るとカビの原因になる可能性も。
もし重曹を使用するのであれば、微量を水で薄めて雑巾に付け、目立たない箇所で試してからにしましょう。そして作業後はすぐに水拭きで中和し、しっかり乾燥させる必要があります。
畳の素材に優しい方法を選ぶことが、長く使うための第一歩です。重曹は万能ではなく、使用環境に応じて向き不向きがあることを理解しておきましょう。

畳用のおすすめ洗剤5選

畳の茶色いシミに対応できる市販の洗剤には、畳に優しく安全に使えるものが多くあります。ここでは、信頼性のあるおすすめの洗剤を5つ紹介します。
畳汚れ職人
防カビ・抗菌成分を含んだスプレータイプで、日常的な汚れにも対応します。畳表の細かな繊維の中に入り込んだホコリやチリを浮かせてから除去できるため、手軽に美観を保てます。家庭内で発生しやすい軽度のカビや食べこぼしの除去にも効果を発揮します。

パストリーゼ77
アルコールベースの除菌スプレーで、シミ予防と同時にカビ対策にも使えます。食品にも使えるほどの高い安全性があり、調理場に近い畳でも安心して使えます。速乾性が高いため、畳に余分な湿気を与えないのも利点です。

かんたんマイペット
畳対応の万能洗剤。スプレーして拭き取るだけの簡単な使い方で、軽度のシミやべたつきに対して効果があります。中性タイプで素材にも優しく、日常の手入れ用としても最適です。

激落ちシート 畳用
シートタイプで手軽に掃除でき、掃除機や雑巾がけの補助に便利です。使い捨て可能なので、衛生的なケアができ、忙しい方でも気軽に畳の手入れができます。畳の目に沿って軽く拭くだけで、表面のホコリや軽い汚れを落とすのに役立ちます。

タタミの洗剤 ダニとバイバイ
ダニ抑制効果もあるスプレータイプで、特に子どもやペットがいる家庭での使用に適しています。使い続けることでダニの繁殖を抑えられるため、定期的なケアに取り入れると安心です。

これらの製品はいずれも畳専用または畳に対応したもので、刺激が少なく素材に優しい処方がなされています。購入の際は、使用目的や成分をよく確認し、自分の畳の状態に最適なものを選びましょう。
落とした後の乾燥とケア方法
畳の茶色いシミを洗剤や拭き取りで落とした後に行う乾燥とケアは、仕上がりを大きく左右します。水分が畳の内部に残っていると、時間とともにカビが発生し、新たな変色や異臭の原因となるため注意が必要です。
まず、洗剤を使って掃除したあとは、濡れた雑巾で洗剤成分を完全に拭き取りましょう。その後、乾いた布やタオルで畳の目に沿って丁寧に乾拭きします。このとき、繰り返し何度か拭き取ることが大切です。
さらに、掃除直後の数時間は部屋の窓を開けてしっかり換気を行い、自然乾燥させます。天気が良ければ扇風機やサーキュレーターを活用して、風を送り込むのも効果的です。畳に湿気を残さないことが、カビの再発を防ぐ最も重要なポイントになります。
また、掃除後は除菌スプレーや防カビスプレーを軽く吹きかけておくと、菌の繁殖を抑える効果が期待できます。しっかり乾燥させた後で行うのがベストタイミングです。
こうして丁寧に乾燥とケアを行えば、畳を清潔に保ちながら長持ちさせることができます。
畳を長持ちさせる予防策

畳の変色や茶色いシミを予防するには、日常のちょっとした工夫が大きな効果を発揮します。まず意識したいのは「湿気対策」です。畳は水分を吸収しやすい素材のため、湿気がこもるとカビや汚れの原因になります。
定期的な換気はもちろん、梅雨時など湿度が高い時期には除湿機を活用しましょう。特に窓際や家具の下は空気がこもりやすいため、位置を時々変えることも効果的です。
さらに、畳の上にカーペットやラグを敷く場合は、通気性の良いものを選び、こまめに外して乾燥させましょう。湿気がこもると、カーペットの下にカビが発生し、結果的に畳も変色してしまうことがあります。
直射日光も畳の色あせやシミの原因となります。レースカーテンやUVカットフィルムを使って、日差しの調節を行いましょう。また、畳を定期的に回転させることで、特定の箇所だけが劣化するのを防げます。
こぼれた液体やペットの尿などは、放置せずすぐに対応することが基本です。ペーパータオルで水分を吸い取り、アルコール除菌スプレーなどで仕上げの処理をすれば、臭いやシミを未然に防ぐことができます。
こうした日常の習慣を意識することで、畳は長持ちし、美しい状態を保つことができます。
畳に付いた茶色いシミの原因と対策を総括
以下はこの記事のまとめです。
- 茶色いシミは液体の酸化や経年劣化が主な原因
- 紫外線や湿気でも畳が茶色く変色することがある
- 洗剤の選定ミスがシミや変色を引き起こす場合がある
- 水溶性のシミは時間が経ってもある程度落とせる
- 油分や尿のシミは深く染み込み除去が難しい
- 初期対応の速さがシミの定着を防ぐ鍵となる
- 犬の尿は強い臭いや変色の原因になるため即時対応が必要
- 重曹やベビーパウダーは応急処置として有効
- 黒カビとの違いは見た目とにおい、粉っぽさで判断できる
- カビは健康リスクがあるため早期除去が必須
- 強い洗剤や漂白剤は畳を傷めるリスクが高い
- 市販の畳専用洗剤は安全性と効果のバランスが良い
- 清掃後は乾燥と換気を徹底することで再発を防げる
- 変色や劣化が広がった場合は畳の表替えや新調が選択肢となる
- 予防には湿気・直射日光・汚れ対策を継続的に行う必要がある