毎日のお弁当作り、特に気温が上がる季節は食中毒が心配ですよね。「パストリーゼをお弁当にかける」という対策を耳にしたけれど、食べ物に直接使えるのか、パストリーゼは食べても平気なのか、子供のお弁当に使う際の危険性はないのか、など疑問は尽きないでしょう。
また、お弁当の味への影響や、そもそも効果なしという噂も気になるところです。
この記事では、アルコール除菌スプレーとしてパストリーゼを食器に使う方法から、お弁当箱の消毒アルコールとしての具体的な活用法、さらには誤って服にかける場合の対処法まで、あなたの不安を解消するために網羅的に解説します。
- パストリーゼをお弁当に使う際の安全性
- 食品や食器への正しい使い方
- 子供のお弁当に使う時の注意点
- 効果を最大限に引き出すためのポイント

パストリーゼをお弁当にかける際の安全性
- パストリーゼは食べ物に直接使える?
- パストリーゼは食べても平気なのか解説
- 子供のお弁当に使用する際の注意点
- パストリーゼの危険性は本当にないのか
- お弁当の味に影響は出てしまうのか
- アルコール除菌スプレーは食器にかかっても大丈夫?
パストリーゼは食べ物に直接使える?

結論から言うと、ドーバー社のパストリーゼ77は食べ物に直接スプレーすることが可能です。
その理由は、パストリーゼ77が厚生労働省から認可を受けた「食品添加物」に分類されているためです。酒造会社であるドーバー社が開発したこの製品は、原材料にこだわって作られています。
パストリーゼ77の主な原材料
- 醸造用アルコール:100%サトウキビ由来の原料を使用しており、酒造用と同じ高品質なものです。
- 純水:不純物を取り除いた純度の高い水が使われています。
- 緑茶抽出物(カテキン):抗菌作用の持続性を高めるために配合されています。
このように、口に入ることを前提とした安全性の高い成分で作られているため、お弁当のおかずだけでなく、パンや果物、お刺身などの生鮮食品にも直接噴霧して、菌の増殖を抑え、鮮度を保つ目的で使用できます。
(参照:ドーバー酒造株式会社公式サイト)
パストリーゼは食べても平気なのか解説
前述の通り、パストリーゼ77は食品添加物として認可されているため、正しく使用すれば口に入っても健康への害はないとされています。
噴霧されたアルコールは非常に揮発性が高く、数秒から数分で蒸発します。そのため、食品にアルコール成分が長時間残留することはありません。この速乾性により、食品の風味を損なうことなく除菌効果を発揮するのです。
ただし、注意点もあります。スプレーした直後は当然ながらアルコール成分が残っており、特有の匂いも感じられます。この状態で食べてしまうと、アルコールの味や匂いが気になる可能性があります。
スプレー後の待ち時間が重要
食品にスプレーした後や、お弁当にかけた後は、すぐに蓋をしたりラップをしたりせず、必ず20秒〜30秒ほど待ってアルコール成分を十分に蒸発させてください。これにより、アルコール臭が食品に移るのを防ぎ、味への影響を最小限に抑えられます。
この「待つ」という一手間が、パストリーゼを安心して美味しく活用するための重要なポイントになります。
子供のお弁当に使用する際の注意点

パストリーゼは安全性の高い製品ですが、体の小さな子供やアルコールに敏感な子供のお弁当に使う際は、大人以上に慎重になる必要があります。
最も重要なのは、やはりアルコールを完全に揮発させることです。子供は大人よりも味や匂いに敏感な場合が多く、わずかなアルコール臭でも食事を嫌がってしまう可能性があります。
また、ごく稀にアルコールに対して過敏な体質のお子さんもいるかもしれません。そのため、初めて使用する際は特に以下の点に注意してください。
子供のお弁当に使う際の3つのポイント
- 揮発時間を長めに取る: 通常20〜30秒とされていますが、念のため1分程度待つとより安心です。
- かけすぎない: お弁当全体にサッと一吹きする程度で十分です。びしょびしょになるほどかける必要はありません。
- おかずへの直接噴霧を避ける方法も: もし抵抗がある場合は、おかずを詰める前のお弁当箱や、蓋の裏側にスプレーして乾かしておくという方法も有効です。これだけでも十分に除菌効果が期待できます。
「うちの子は匂いに敏感だから…」と心配な方は、まずはお弁当箱自体の除菌から試してみるのがおすすめですよ。食材に直接触れない方法でも、食中毒のリスクを減らす助けになります。
いずれにしても、子供の体調や反応をよく観察しながら使用することが大切です。
パストリーゼの危険性は本当にないのか
食品としての安全性は高いパストリーゼですが、取り扱い方を誤ると火災などの危険性があるため、注意が必要です。これは製品の欠陥ではなく、アルコール度数77%という高濃度アルコール製品に共通する特性です。
引火の危険性
パストリーゼは消防法で「危険物第4類 アルコール類」に分類されます。これは、引火しやすい液体であることを意味します。そのため、火気の近くでは絶対に使用しないでください。
特に注意すべき場面
- ガスコンロの火がついている厨房での使用
- 給湯器の種火の近くでの使用
- タバコを吸いながらの使用
- 静電気が発生しやすい場所での大量噴霧
使用する際は、必ず火元がないことを確認し、換気を十分に行うことが重要です。また、高温になる場所(直射日光の当たる窓辺や車内など)での保管も避けましょう。
使用できない素材
アルコールは一部の素材を溶かしたり、変質させたりする性質があります。以下の素材への使用は避けましょう。
素材の種類 | 具体的な例 | 起こりうる変化 |
---|---|---|
塗装面 | フローリング(特にワックス塗装)、ニス塗りの家具 | 白化、変色、ツヤがなくなる |
皮革製品 | カバン、靴、ソファ | 変色、ひび割れ、硬化 |
一部の樹脂 | スチロール樹脂、アクリル樹脂製品 | 溶解、亀裂、変質 |
ゴム製品 | 天然ゴムなど | 膨潤、劣化 |
誤った使い方によるトラブルを防ぐためにも、これらの危険性を正しく理解しておくことが大切です。
お弁当の味に影響は出てしまうのか

「アルコールスプレーをかけたら、お弁当がまずくならない?」という心配はもっともですが、正しい手順を守れば、味や香りに影響が出ることはほとんどないとされています。
その理由は、パストリーゼが持つ「速乾性」にあります。不純物が少ない高品質な醸造用アルコールと純水から作られているため、スプレーした後のアルコールの蒸発が非常に速いのです。
しかし、使い方を誤ると風味を損なう原因になります。
味に影響が出てしまうNGな使い方
- かけすぎる:お弁当がしっとりするほど大量にスプレーすると、アルコールが揮発しきるまでに時間がかかり、匂いが残りやすくなります。
- すぐに蓋をする:スプレーしてすぐに蓋をすると、揮発したアルコールが弁当箱内に充満し、おかずに匂いが移ってしまいます。
- 距離が近すぎる:食品との距離が近いと、一箇所に集中してかかってしまい、その部分だけアルコールが残りやすくなります。
ドーバー社の公式サイトでも推奨されている通り、食品から30cmほど離して、全体にまんべんなく霧がかかる程度にサッと一吹きするのが、味に影響させないためのコツです。
アルコール除菌スプレーは食器にかかっても大丈夫?
はい、パストリーゼは食品だけでなく、お弁当箱や水筒、普段使いの食器などにも安心して使用できます。
食品に直接かけられるほど安全な成分で作られているため、当然ながら食器や調理器具への使用も問題ありません。むしろ、日々の衛生管理に積極的に活用したいアイテムです。
食器への効果的な使い方
- 洗浄後、水気をしっかりと拭き取るか、自然乾燥させます。
- パストリーゼを食器の内外にスプレーします。
- そのまま自然乾燥させます。
パストリーゼは速乾性に優れているため、スプレー後に再度水で洗い流したり、布巾で拭き取ったりする必要がなく、手間がかからないのが大きなメリットです。特に、パッキンなどの細かい部品があり、完全に乾かしにくい水筒の除菌には非常に便利です。
ただし、「パストリーゼの危険性」の項目で触れたように、漆器やアクリル樹脂、スチロール樹脂製の食器には使用できません。変色や変質の原因となるため、お手持ちの食器の素材を確認してから使用してください。
パストリーゼをお弁当にかける効果的な方法
- おかずに直接スプレーする際の使い方
- お弁当箱の消毒アルコールとしての活用法
- パストリーゼは効果なしという噂の真相
- 誤って服にかける場合の対処法とは
- パストリーゼをお弁当にかける際の重要点
おかずに直接スプレーする際の使い方

パストリーゼの効果を最大限に引き出し、かつお弁当の味を損なわないためには、正しい手順でスプレーすることが不可欠です。以下のステップを守ることで、安全かつ効果的に除菌対策ができます。
ステップ1:おかずは十分に冷ます
これが最も重要なポイントです。温かいご飯やおかずは湯気を発し、お弁当箱内部の温度と湿度を上げてしまいます。これは食中毒菌が最も繁殖しやすい環境です。必ず全てのおかずとご飯が常温まで冷めてから作業を始めてください。
ステップ2:お弁当箱に詰める
冷ましたおかずを彩りよくお弁当箱に詰めます。この時点ではまだ蓋はしません。
ステップ3:30cm離してスプレーする
お弁当箱から30cmほど腕を離し、お弁当全体に霧がかかるようにサッと一吹きします。一箇所に集中しないよう、まんべんなくスプレーするのがコツです。
かけすぎは禁物です。「心配だから」と何プッシュもすると、アルコールの揮発が遅れ、味や香りに影響が出る原因になります。
ステップ4:20秒以上待ってから蓋をする
スプレー後、すぐに蓋をせず、最低でも20〜30秒はそのまま置いてアルコールを完全に揮発させます。この時間でアルコール成分が蒸発し、配合されているカテキンの抗菌効果が表面に残ります。
この4つのステップを守ることで、パストリーゼの除菌・抗菌パワーを正しく活用することができます。
お弁当箱の消毒アルコールとしての活用法
パストリーゼは、おかずに直接かけるだけでなく、お弁当箱自体を衛生的に保つための消毒アルコールとしても非常に優秀です。
特に梅雨時や夏場は、お弁当箱にわずかに残った水分や汚れから菌が繁殖しやすくなります。そこで、調理を始める前とおかずを詰めた後の「ダブル除菌」が効果的です。
活用法1:おかずを詰める前の「容器除菌」
調理を開始する一番初めに、洗って乾かしてあるお弁当箱と蓋の内側全体にパストリーゼを吹きかけます。特に蓋のパッキン部分は菌が溜まりやすいので念入りに行いましょう。スプレーした後は、そのまま自然乾燥させておきます。おかずを詰める頃にはアルコールも完全に揮発しており、清潔な状態でお弁当作りをスタートできます。
活用法2:おかずを詰めた後の「仕上げ除菌」
これは前項で説明した通り、完成したお弁当の上からスプレーする方法です。容器と中身の両方を除菌することで、より一層の安心感が得られます。
この方法は、お弁当箱だけでなく、まな板や包丁、菜箸といった調理器具の除菌にも応用できます。調理前にシュッと一吹きする習慣をつけるだけで、キッチン全体の衛生レベルがぐっと上がりますよ。
パストリーゼは効果なしという噂の真相

「パストリーゼを使っているのに、食品が傷んでしまった」という声から、「パストリーゼは効果なし」という噂が立つことがあります。しかし、これは多くの場合、製品の問題ではなく、使い方に原因があると考えられます。
パストリーゼが高い除菌・抗菌効果を持つことは、多くの試験で証明されています。効果を感じられない場合は、以下の点に当てはまらないか確認してみましょう。
効果なしと感じる主な原因
- 温かいものにかけている:前述の通り、おかずが温かい状態でお弁当箱に蓋をすると、内部は菌の温床になります。これはパストリーゼをかけても防ぎきれません。除菌の基本は「冷ますこと」です。
- すぐに蓋をしている:アルコールが揮発し、カテキンが効果を発揮する前に蓋をしてしまうと、十分な抗菌効果が得られません。
- 過信している:パストリーゼは魔法のアイテムではありません。そもそも傷みやすい食材を使っていたり、長時間高温の場所に保管していたりすれば、食中毒のリスクは高まります。保冷剤との併用が基本です。
全ての菌やウイルスに万能ではない
パストリーゼは多くの細菌やカビ、インフルエンザウイルスなどには有効ですが、ノロウイルスやロタウイルスといった一部のノンエンベロープウイルスには効果が限定的です。食中毒対策としては非常に有効ですが、感染症対策として使用する場合は、対象となるウイルスの種類を確認することが重要です。
つまり、パストリーゼは「食中毒対策の基本を守った上で、さらに安全性を高めるための強力な補助アイテム」と捉え、正しく使うことが「効果なし」という結果を避ける鍵となります。
誤って服にかける場合の対処法とは
キッチンでパストリーゼを使っていると、誤って自分の服にスプレーがかかってしまうこともあります。多くの場合、一般的な衣類であれば大きな問題になることはありません。
パストリーゼの主成分はアルコールと水なので、布にかかってもシミになることは少なく、すぐに揮発して乾きます。むしろ、アルコールの除菌・消臭効果により、衣類の嫌なニオイが軽減されるという副次的なメリットも期待できます。
ただし、どんな素材でも安心というわけではありません。以下の素材には注意が必要です。
服にかける際に注意が必要な素材
- 皮革・合成皮革製品:アルコールが油分を奪い、シミやひび割れ、変色の原因になります。絶対にかからないように注意してください。
- 水に弱い繊維:シルク、レーヨン、キュプラなどのデリケートな素材は、水だけでも輪ジミになることがあります。アルコールスプレーも同様にシミの原因になる可能性があります。
- 塗装された付属品:ボタンや装飾品に特殊な塗装がされている場合、アルコールで塗装が剥げてしまう恐れがあります。
もしこれらのデリケートな素材の衣類にかかってしまった場合は、すぐに乾いた布で優しく叩くようにして液体を吸い取ってください。普段使いのTシャツやエプロンなどであれば、過度に心配する必要はないでしょう。
パストリーゼをお弁当にかける際の重要点
この記事で解説してきた、パストリーゼをお弁当に安全かつ効果的に使うためのポイントを最後にまとめます。
- パストリーゼは食品添加物認可で食品に直接使える
- 主成分はサトウキビ由来の醸造用アルコールで安全性が高い
- 緑茶カテキン配合で抗菌効果が持続する
- 正しく使えば味や香りを損なうことはないとされる
- おかずを十分に冷ましてからお弁当箱に詰める
- 詰めた後30cm離して全体に軽くスプレーする
- スプレー後は20秒以上待ってアルコールを揮発させる
- 子供のお弁当に使う際は特に揮発時間をしっかり確保する
- 詰める前のお弁当箱や蓋の除菌にも効果的
- 火の近くでは絶対に使用しない(引火の危険性)
- フローリングや革製品など使えない素材がある
- 食器にも使用できるが使用後はよく乾燥させる
- 使い方を誤ると効果なしと感じることがある
- 一部のウイルスには効果が限定的
- 衣類にかける際は素材に注意する
