赤ちゃんの誕生を心待ちにする中で、「水通し」という準備が必要だと知り、調べている方も多いのではないでしょうか。多くの情報で「水通しは洗剤いらない」と書かれていますが、本当に水だけでいいのか、汚れが落ちるのか不安になりますよね。
洗剤を使うべきか迷ったり、もし使うならおすすめの洗剤はあるのか、人気の「さらさ」や普段使いの「アタック」は使えるのか、さまざまな疑問が浮かぶことでしょう。また、柔軟剤はいらないのか、そもそも赤ちゃんの水通しで何を洗えばいいのかも気になるところです。さらに、自宅の洗濯機に専用のコースがない場合、おしゃれ着コースで代用できるのか、乾燥機は使っても良いのかなど、実践的な悩みは尽きません。
この記事では、こうした「水通し」に関するあらゆる疑問を解消し、大切な赤ちゃんのために安心して準備を進められるよう、基本的な知識から具体的な手順まで詳しく解説します。
- 水通しで洗剤が基本的に不要な理由
- 洗剤や柔軟剤を使う場合の選び方と注意点
- 洗濯機や手洗いでの具体的な水通しの手順
- 水通し後の衣類の干し方や保管方法
「水通しは洗剤いらない」は本当?基本を解説
- 赤ちゃんの水通しは水だけでいい?
- それでも気になるなら洗剤を使うべき?
- 水通しに柔軟剤はいらない?
- 赤ちゃんの水通しで何を洗えばいい?
赤ちゃんの水通しは水だけでいい?

結論から言うと、赤ちゃんの水通しは基本的に水、またはぬるま湯だけで十分です。
水通しの主な目的は、新品のベビー服に付着している「糊(のり)」や、シックハウス症候群の原因物質としても知られる「ホルムアルデヒド」を洗い流すことにあります。これらの物質は、赤ちゃんのデリケートな肌にとって刺激となる可能性があります。
幸いなことに、糊もホルムアルデヒドも水に溶けやすい「水溶性」の性質を持っているため、洗剤を使わなくても水洗いで十分に除去することが可能です。
水通しの2つの主な目的
- 糊を落とす:新品の衣類は、パリッとした風合いを出すために糊付けされています。この糊を落とすことで、生地本来の柔らかさが戻り、肌触りが良くなります。また、汗を吸収しやすくなるため、汗っかきな赤ちゃんのあせも予防にも繋がります。
- ホルムアルデヒドを落とす:衣類のシワや縮みを防ぐために使われることがある化学物質です。日本のベビー用品(生後24ヶ月以内)には厳しい基準値が設けられていますが、輸送中や店頭で他の衣類などから移染する可能性もゼロではありません。水通しで洗い流しておくとより安心です。
むしろ、洗剤を使わないことには「洗剤成分が繊維に残る心配がない」という大きなメリットもあります。すすぎが不十分だと、残った洗剤成分が赤ちゃんの肌への刺激になることも考えられるため、水だけで行うのは非常に合理的と言えるでしょう。
それでも気になるなら洗剤を使うべき?
水だけで十分と分かっていても、「本当にきれいになっているか不安」「長期間保管されていたものだから衛生面が気になる」と感じる方もいらっしゃるでしょう。そのような場合は、赤ちゃん用の洗濯洗剤を少量使っても問題ありません。
ただし、洗剤を使用する際にはいくつか注意点があります。
水通しで洗剤を使う場合の注意点
大人用の洗剤は避ける
普段使っている大人用の洗濯洗剤には、洗浄力を高めるための合成界面活性剤や、衣類を白く見せるための蛍光増白剤、強い香りの香料などが含まれていることがあります。これらの成分は、肌のバリア機能が未熟な赤ちゃんにとっては刺激が強く、肌トラブルの原因になる可能性があるため、使用は避けましょう。
赤ちゃん用の洗剤を選ぶ
「無添加」「無香料」「無着色」などを謳った、赤ちゃん専用の低刺激な洗剤を選びましょう。植物由来の洗浄成分で作られているものなどがおすすめです。
使用量を守り、しっかりすすぐ
洗剤を使う場合は、規定の使用量を必ず守ってください。多く入れても洗浄力が格段に上がるわけではなく、むしろすすぎ残しの原因になります。洗剤成分が衣類に残らないよう、すすぎは念入りに(できれば2回以上)行うと安心です。
水だけで洗うことに抵抗がある場合は、無理せずベビー用洗剤を使いましょう。ママやパパが「これで安心」と思えることが、一番大切ですよ。
水通しに柔軟剤はいらない?

ふわふわの肌触りにしてあげたいという思いから、柔軟剤の使用を考えるかもしれませんが、水通しの際に柔軟剤は必要なく、むしろ使用は避けるのが推奨されています。
その理由は、柔軟剤の仕組みにあります。柔軟剤は、繊維の表面を油性の成分でコーティングすることで、滑りを良くして柔らかい感触を生み出します。このコーティング成分(主に陽イオン界面活性剤)や香料が繊維に残りやすく、赤ちゃんの肌に直接触れることで刺激となり、かぶれやアレルギーを引き起こす可能性があるのです。
もともと新品の衣類がゴワゴワしている主な原因は「糊」です。水通しでこの糊を洗い流すだけでも、生地は十分に柔らかく、吸水性も高まります。
どうしても衣類のゴワつきが気になる場合は、柔軟剤に頼るのではなく、以下の方法を試してみてください。
柔軟剤なしで柔らかく仕上げる方法
- 脱水時間を短くする:脱水しすぎると繊維が固まりやすくなります。ベビー服のような薄手のものは1分程度の短い脱水で十分です。
- 干す前によく振る:脱水後の衣類を両手で持ち、パンパンと数回強く振ることで、寝てしまった繊維が立ち上がり、空気を含んでふんわりと乾きます。
- 乾燥機を短時間だけ使う:洗濯表示で乾燥機がOKなものに限りますが、完全に乾かすのではなく、5〜10分だけ温風に当ててから干すと、繊維がほぐれて柔らかくなります。(※縮みには十分注意してください)
もし柔軟剤を使用したい場合は、洗剤と同様に赤ちゃん用の低刺激な製品を選び、赤ちゃんの肌の様子を注意深く見ながら試すようにしましょう。
赤ちゃんの水通しで何を洗えばいい?
水通しは、基本的に赤ちゃんの肌に直接触れる布製品すべてに行うのがおすすめです。
「肌着やベビー服だけでいいのでは?」と思うかもしれませんが、前述の通り、ホルムアルデヒドは空気中を漂って他のものから移る「移染」という性質があります。そのため、赤ちゃんが口に含んだり、顔をうずめたりする可能性のあるものも、まとめて水通ししておくと安心です。
具体的には、以下のようなアイテムが対象となります。
水通しが必要なアイテムの例
- 衣類:コンビ肌着、短肌着、ロンパース、カバーオール、ドレス、スタイ(よだれかけ)、靴下、ミトンなど
- 寝具類:シーツ、布団カバー、枕カバー、スリーパー、ブランケット、おくるみなど
- タオル類:バスタオル、沐浴布、ガーゼハンカチなど
- その他:布製のおもちゃ、ぬいぐるみ、抱っこ紐やベビーカーのカバーなど
水通しを行う前には、必ず各製品の「洗濯表示」を確認してください。中には水洗いできない素材のもの(シルクやウール、特殊な装飾があるものなど)もあります。洗濯表示に従い、水洗いが可能なものだけを水通ししましょう。
「水通しで洗剤いらない」以外の疑問を解決
- おすすめの赤ちゃん用洗剤を紹介
- 「さらさ」は水通しに使える?
- 「アタック」は水通しに使える?
- 洗濯機に水通し用のコースがない場合
- おしゃれ着コースで代用は可能?
- 水通し後の乾燥機の使用について
おすすめの赤ちゃん用洗剤を紹介
水通しに洗剤を使いたい場合、どのような製品を選べばよいのでしょうか。市場には多くのベビー用洗剤がありますが、選ぶ際のポイントは「赤ちゃんの肌への優しさ」です。
具体的には、以下の点に注目して選ぶと良いでしょう。
- 無添加処方:蛍光増白剤、漂白剤、着色料、合成香料、防腐剤などが含まれていないものを選びましょう。
- 洗浄成分:ヤシノミ由来などの植物性洗浄成分や、純せっけん成分を主としたものが肌に優しい傾向があります。
- テスト済み表記:「皮膚刺激テスト済み」「アレルギーテスト済み」といった表記がある製品は、安全性を確認する上での一つの目安になります。(※すべての方にアレルギーや皮膚刺激が起きないというわけではありません)
ここでは、代表的な赤ちゃん用洗濯洗剤をいくつかご紹介します。
商品名 | メーカー | 特徴 |
---|---|---|
無添加ピュア ベビー洗たく洗剤 | ピジョン | 0ヶ月の赤ちゃんから使える、無添加(着色料、香料、漂白剤、リン、蛍光剤不使用)にこだわった洗剤。クエン酸配合で、うんちやミルクの黄ばみ汚れにもアプローチします。 |
arau.baby(アラウ.ベビー) 洗たくせっけん | サラヤ | 合成界面活性剤、蛍光剤、漂白剤、合成香料などを一切使わない無添加せっけん。植物原料100%で、柔軟剤なしでもふっくらと仕上がります。ほのかな天然ハーブの香りと無香タイプがあります。 |
他にも様々なメーカーから赤ちゃん用洗剤が販売されています。液体のほかに、洗浄力の高い粉末タイプや計量が不要なジェルボールタイプなどもありますので、ライフスタイルに合わせて選んでみてくださいね。

「さらさ」は水通しに使える?

P&Gから販売されている「さらさ」は、水通しにも使用することができます。
「さらさ」は、赤ちゃんの衣類にも使えることを考えて開発された洗剤で、公式サイトでもその特徴が紹介されています。
洗濯洗剤「さらさ」の主な特徴
- 大切な肌のことを考えた無添加*:蛍光剤・漂白剤・着色料が無添加です。
- 植物由来のケア成分配合:厳選された植物由来成分を配合し、やさしく洗い上げます。
- 皮膚科医監修のもと肌テスト済み**:肌への安全性を確認しています。
- しっかりとした洗浄力:天然酵素を配合し、食べこぼしや皮脂汚れなどもしっかり落とします。
*液体洗剤・ジェルボールの場合
**すべての人の皮膚に影響がないわけではありません(参照:さらさ公式サイト)
これらの特徴から、多くのママ・パパに選ばれており、水通しから普段の赤ちゃんの衣類の洗濯まで、安心して使用できる洗剤の一つと言えます。優しい柑橘系の香りも人気の理由です。
「アタック」は水通しに使える?
花王の代表的な洗濯洗剤「アタック」シリーズですが、このうち「アタックZERO(ゼロ)」は、赤ちゃんの衣類にも使用できると公式サイトで明記されており、水通しにも使えます。
花王の公式サイトにあるQ&Aでは、「アタックゼロ」について以下のように回答されています。
『赤ちゃんの衣類のお洗たくにも安心してお使いいただけます。なお、淡い色の赤ちゃんの衣類は、蛍光増白剤(蛍光剤)入りの洗剤で洗たくすると、白っぽくなってしまうことがあります。「アタックゼロ」は蛍光剤無配合なので、赤ちゃんの衣類におすすめです。』(参照:花王株式会社 製品Q&A)
ポイントは「蛍光剤が無配合」である点です。生成りや淡い色のベビー服は、蛍光剤入りの洗剤で洗うと、本来の色合いが損なわれて白っぽくなってしまうことがあります。「アタックZERO」はその心配がないため、安心して使用できます。
「アタック」シリーズには様々な製品があり、中には蛍光剤が配合されているものもあります。赤ちゃんの衣類に使う場合は、必ずパッケージの成分表示を確認し、「蛍光剤無配合」あるいは「無蛍光」と記載されているものを選ぶようにしてください。
洗濯機に水通し用のコースがない場合

「さあ、水通しをしよう!」と思っても、自宅の洗濯機に「水通しコース」という名称のコースはないのが一般的です。その場合、どのコースを選べばよいか迷いますよね。
専用コースがない場合は、衣類を優しく洗うことを目的としたコースで代用すれば問題ありません。ベビー服は生地が薄くデリケートなため、標準コースのような強い水流で洗うと、型崩れや生地の傷みの原因になることがあります。
洗濯機のメーカーによってコースの名称は異なりますが、以下のようなコースが水通しに適しています。
- 手洗いコース
- ソフトコース
- 弱水流コース
- ドライコース
- おうちクリーニングコース
これらのコースは、弱い水流で優しく「洗い」、短時間で「脱水」するように設定されているため、ベビー服への負担を最小限に抑えることができます。ご自宅の洗濯機の取扱説明書を確認し、最も洗い方が優しいコースを選んでください。
おしゃれ着コースで代用は可能?
「おしゃれ着コース」は水通しに非常に適しており、おすすめのコースです。
「おしゃれ着コース」は、まさに前述した「衣類を優しく洗うこと」に特化したコースです。洗濯槽の回転を抑え、衣類を揺らすように洗うことで、繊維へのダメージや型崩れ、縮みを防ぎます。
メーカーによっては「おうちクリーニングコース」や「ドライコース」といった名称で搭載されていますが、機能はほぼ同じです。
おしゃれ着コースで水通しする際のポイント
- 洗濯ネットを活用する:ベビー服は小さいので、洗濯槽の中で絡まりやすいです。洗濯ネットに入れることで、より丁寧に洗うことができ、紐やボタンの引っかかりも防げます。
- 水の量:自動で設定されることが多いですが、もし手動で設定できる場合は、少し多めの水量にすると、衣類同士の摩擦が減ってさらに優しく洗えます。
どのコースを選べばいいか迷ったら、まず「おしゃれ着コース」を探してみてください。大切なベビー服を優しく洗い上げることができます。
水通し後の乾燥機の使用について
水通しが終わった後の乾燥方法ですが、乾燥機の使用は基本的に避けるのが無難です。
ベビー服の多くは、肌触りの良い綿(コットン)100%などの天然素材で作られています。これらの素材は熱に弱く、乾燥機の高温で乾かすと、生地が大幅に縮んでしまったり、繊維が傷んでゴワゴワになったりする可能性が高いのです。
せっかく赤ちゃんのために用意した可愛いお洋服が、着せる前に小さくなってしまったら悲しいですよね…。
最も良い方法は、風通しの良い場所での自然乾燥(天日干しまたは室内干し)です。お天気の良い日に外で干せば、日光による殺菌効果も期待できます。
ただし、梅雨の時期や花粉が気になる季節など、外に干せない場合もあります。その際は、室内で干すことになりますが、生乾きにならないように以下の点を工夫しましょう。
室内干しで早く乾かす工夫
- 衣類同士の間隔をしっかり空ける
- 扇風機やサーキュレーターで風を当てる
- エアコンの除湿機能や浴室乾燥機を活用する
どうしても乾燥機を使いたい場合は、必ず洗濯表示で「タンブラー乾燥(乾燥機)OK」のマークがあるかを確認してください。もし使用する場合でも、完全に乾かすのではなく、低温設定で短時間だけ回し、仕上げは自然乾燥にするなど、衣類への負担を減らす工夫をおすすめします。
基本的に水通しは洗剤いらない
この記事で解説してきた通り、赤ちゃんの「水通し」について正しく理解すれば、安心して準備を進めることができます。最後に、重要なポイントをまとめました。
- 水通しの主な目的は新品衣類についた糊や化学物質を落とすこと
- 糊やホルムアルデヒドは水溶性のため水だけで十分に洗い流せる
- 洗剤を使わないことで衣類への洗剤成分の残留を防ぐメリットがある
- 汚れや衛生面が気になる場合は赤ちゃん用の低刺激な洗剤を少量使用する
- 大人用の洗剤は香料や蛍光剤など刺激の強い成分を含むため避ける
- 柔軟剤は成分が繊維に残りやすく肌刺激の原因になるため基本的には不要
- 水通しの対象は肌着やベビー服のほか肌に触れる布製品全般
- 洗剤を使うなら「さらさ」や蛍光剤無配合の「アタックZERO」なども選択肢になる
- 洗濯機に専用コースがない場合は「おしゃれ着コース」や「手洗いコース」で代用する
- 大切な衣類を傷めないよう水流の弱いコースを選ぶのがポイント
- 乾燥機は衣類の縮みや傷みの原因になるため避けた方が安心
- 天気の良い日の天日干しや風通しの良い場所での室内干しが最適
- 水通しは体調に余裕のある妊娠8~9ヶ月頃までに済ませておくと良い
- 水通しを終えた衣類はホコリなどが付かないよう大人用とは分けて保管する
- ジッパー付きの清潔な袋などに入れておくと移染も防げてより安心