大切に育てている植物にアブラムシがびっしり…そんな時、アブラムシ駆除には重曹スプレーが役立つと聞き、詳しい作り方や本当に簡単なのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、多くの方が疑問に思う重曹スプレーの作り方から、即効性の有無、さらにはアブラムシを全滅させる方法まで、様々な角度から解説します。
またアブラムシスプレーの作り方は重曹以外にも、唐辛子や木酢液、お酢など、身近なもので代用できるのか、そして酢をかけるとなぜ効果があるのか、その作り方にも触れていきます。一方で、コーヒーやハッカ油が効くという噂の真偽についても検証し、安全で効果的なアブラムシ対策を徹底的にご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
- 安全な重曹スプレーの具体的な作り方と使用上の注意点
- 重曹以外の身近な材料で作れるアブラムシスプレーのレシピ
- 効果が期待できる方法と、実は効果が薄い方法の見分け方
- アブラムシの発生状況に応じた最適な駆除方法の選び方
アブラムシ駆除は重曹スプレーが効果的
- 簡単な重曹スプレー 作り方の手順
- 自作アブラムシスプレーの作り方一覧
- 即効性を求めるなら知っておきたいこと
- アブラムシに酢をかけるとなぜ効果がある?
- 基本的なお酢スプレーの作り方
簡単な重曹スプレー 作り方の手順

アブラムシ駆除の基本となる重曹スプレーは、ご家庭にある材料で誰でも簡単に作れる点が大きな魅力です。化学農薬を使いたくない野菜やハーブ、小さなお子様やペットがいるご家庭でも安心して使用できます。
基本的な作り方は、水に重曹を溶かすだけではなく、油と洗剤を加えるのがポイントです。油がアブラムシの体をコーティングして窒息させる効果を高め、洗剤が水と油を混ざりやすくする「展着剤」の役割を果たします。
準備する材料
まず、以下の材料を用意しましょう。
水 | 500ml |
---|---|
重曹 | 小さじ1杯(約5g) |
植物油(サラダ油など) | 20ml |
台所用中性洗剤 | 数滴(1~2滴) |
スプレーボトル | 500ml以上の容量のもの |
作成手順と使い方
作り方は非常にシンプルです。
- スプレーボトルに水、重曹、植物油、台所用中性洗剤をすべて入れます。
- 水と油が分離しているため、キャップをしっかりと閉めて、白く濁るまでよく振り混ぜます。
- アブラムシが密集している葉の裏や新芽、茎などに直接、たっぷりと吹き付けます。
使用上の最重要ポイント:散布後は必ず洗い流す
重曹スプレーを吹きかけた後、1時間程度放置したら、必ずきれいな水で植物全体を洗い流してください。重曹の成分が葉に残ったままだと、葉が変色したり傷んだりする原因になります。特に晴れた日の日中は、葉に残った液体がレンズの役割をして「葉焼け」を起こす可能性が高まるため、注意が必要です。

自作アブラムシスプレーの作り方一覧
アブラムシ対策に使えるスプレーは、重曹以外にも様々な家庭にあるもので手作りできます。それぞれに特徴や注意点があるため、状況に応じて使い分けるのがおすすめです。ここでは代表的な自作スプレーを比較してみましょう。
牛乳スプレーは手軽ですが、後処理を怠ると悪臭の原因になることも。それぞれのメリット・デメリットを理解して、ご自身の園芸スタイルに合ったものを選んでみてくださいね。
スプレーの種類 | 材料 | 特徴と効果 | 注意点 |
---|---|---|---|
牛乳スプレー | 牛乳、水(1:1で割るか原液のまま) | 牛乳が乾く際に膜を作り、アブラムシを窒息させます。非常に手軽に試せます。 | 散布後に洗い流さないと腐敗して悪臭やカビの原因になります。晴れた日に行うのが効果的です。 |
石鹸水スプレー | 水(1L)、無香料・無着色の石鹸(1g) | 石鹸成分がアブラムシの気門を塞ぎます。界面活性剤の力で効果を発揮します。 | 植物への影響を考え、無添加の石鹸を選びましょう。散布後10分程度で洗い流す必要があります。 |
片栗粉スプレー | 片栗粉(大さじ10)、水(4L) | 加熱してとろみをつけた液体を散布。デンプンがアブラムシを固めて窒息させます。展着効果が高いです。 | 作るのに手間がかかります。冷めると固まるため、温かいうちに散布する必要があります。 |
即効性を求めるなら知っておきたいこと

「手作りスプレーをかけたら、すぐにアブラムシがいなくなるの?」と、即効性を期待する方は多いかもしれません。結論から言うと、重曹や牛乳などの自作スプレーは、農薬のような劇的な即効性は期待しにくいです。
これらのスプレーの主な効果は「窒息」です。液体がアブラムシの体を覆い、気門(呼吸するための穴)を塞ぐことで効果を発揮します。そのため、効果が現れるまでには少し時間がかかります。一般的には、スプレーが乾燥するまでの数時間から半日程度で効果が見え始めます。
即効性を高めるコツ
少しでも効果を早めたい場合は、以下の点を意識すると良いでしょう。
- しっかりとかける:アブラムシの体全体が液体で濡れるように、葉の裏まで念入りに散布します。
- 晴れた日に行う:液体が乾きやすい晴れた日の午前中に行うことで、窒息効果が高まります。
- 発生初期に使う:数が少ないうちに対処するのが最も効果的です。大量発生してからでは、一度の散布で全滅させるのは難しくなります。
もし、アブラムシが大量発生してしまい、手作りスプレーでは追いつかない場合は、無理をせず食品成分由来の市販の殺虫剤などを検討するのも一つの方法です。
アブラムシに酢をかけるとなぜ効果がある?
お酢もアブラムシ対策としてよく名前が挙がりますが、その効果のメカニズムは重曹や牛乳とは少し異なります。お酢がアブラムシに効果があるとされる主な理由は、殺虫効果ではなく「忌避効果」にあります。
アブラムシは、お酢に含まれる酢酸や有機酸のツンとした匂いや味を嫌います。そのため、植物にお酢スプレーを散布しておくことで、アブラムシが寄り付きにくくなり、発生を予防する効果が期待できるのです。すでに発生してしまったアブラムシを直接退治する力は弱いと考えられています。
植物の健康を助ける効果も
お酢の成分は、植物の窒素代謝を助け、光合成を活発にする働きがあるとも言われています。植物自体が健康になることで、病害虫への抵抗力が高まり、結果的にアブラムシが付きにくくなるという側面も期待できます。
つまり、お酢スプレーはアブラムシを「駆除する」というよりは、「寄せ付けない」ための予防策として非常に有効な手段と言えるでしょう。
基本的なお酢スプレーの作り方

アブラムシ予防に効果的なお酢スプレーの作り方は非常に簡単です。穀物酢や米酢など、ご家庭にある食用のお酢で手軽に作ることができます。
準備する材料と作り方
- お酢(家庭用穀物酢など):1
- 水:30
上記の割合で用意し、スプレーボトルに入れてよく混ぜ合わせるだけで完成です。例えば、水300mlに対して、お酢は10mlが目安となります。
より効果を高めたい場合は、展着剤の代わりとして台所用中性洗剤を1滴加えると、液体が葉に付着しやすくなります。
濃度には絶対に注意してください
最も重要な注意点は、お酢の濃度を濃くしすぎないことです。良かれと思って濃いお酢スプレーを散布すると、植物の葉が変色したり、枯れてしまったりする原因になります。必ず規定の希釈倍率を守ってください。初めて使う際は、目立たない葉で試してから全体に散布するとより安心です。
効果的な使い方
お酢スプレーは予防が目的なので、アブラムシが発生する前の、植物の若葉や新芽を中心に定期的に散布するのがおすすめです。1週間に2〜3回程度、よく晴れた風の穏やかな日に、葉の表裏にまんべんなく吹きかけておくと、忌避効果が持続しやすくなります。
アブラムシ駆除に重曹スプレー以外の選択肢
- 唐辛子を使ったアブラムシ撃退法
- 木酢液によるアブラムシへの効果とは
- ハッカ油のアブラムシへの使用は注意
- コーヒーでのアブラムシ駆除は可能か
- アブラムシを全滅させる方法とは?
- 最適なアブラムシ駆除 重曹スプレーの活用法
唐辛子を使ったアブラムシ撃退法

唐辛子も、お酢と同様にアブラムシが嫌う成分を含んでおり、忌避剤として利用することができます。唐辛子の辛味成分である「カプサイシン」が、アブラムシに対してピリピリとした刺激を与えるため、植物に寄り付きにくくする効果が期待できます。
唐辛子を使ったスプレーには、アルコールで成分を抽出する方法が一般的です。
唐辛子スプレーの作り方
- 唐辛子を漬け込む:焼酎などアルコール度数35度以上のお酒200mlに対し、唐辛子を10本程度入れ、最低でも2週間以上、できれば1ヶ月ほど冷暗所で漬け込み、辛味成分を抽出します。
- 原液を希釈する:出来上がった原液を、水で約300倍に薄めてスプレーボトルに入れます。
ニンニクを一緒に漬け込むと、ニンニクの匂いによる忌避効果も加わり、さらに効果が高まると言われています。
このスプレーも殺虫効果よりは忌避効果が主となるため、アブラムシの発生前から定期的に植物に吹きかけておくことで、予防策として機能します。ただし、人間にとっても刺激が強い液体なので、目や皮膚にかからないよう取り扱いには十分注意してください。
木酢液によるアブラムシへの効果とは
木酢液(もくさくえき)とは、木炭を焼くときに出る煙を冷却して液体にしたもので、独特の燻製のような香りが特徴です。この香りが、アブラムシを含む多くの害虫にとって不快なため、優れた忌避効果を発揮します。
また、木酢液には植物の生育を助けたり、土壌の有用な微生物を増やしたりする効果もあるとされ、古くから有機農業などで利用されてきました。害虫を遠ざけながら植物を健康にする、一石二鳥の効果が期待できる資材です。
使い方は、製品のラベルに記載されている希釈倍率(一般的に100倍〜500倍)に従って水で薄め、植物の葉や茎に散布します。土壌に散布することで、土壌改良の効果も得られます。
品質の良い木酢液を選びましょう
木酢液は、製造過程で有害物質が含まれる可能性も指摘されています。園芸用として販売されている、成分が明記された信頼できる製品を選ぶようにしましょう。
ハッカ油のアブラムシへの使用は注意
清涼感のある香りが特徴のハッカ油(ミントオイル)は、蚊やブヨなどの虫除けとして知られていますが、アブラムシに対する効果はどうでしょうか。結論から言うと、アブラムシへの忌避効果はあまり期待できず、使用には注意が必要です。
ハッカ油の主成分であるメントールは非常に揮発性が高く、屋外で水に薄めてスプレーしても、すぐに香りが飛んでしまい効果が持続しません。むしろ、高濃度のハッカ油は植物にダメージを与える可能性があります。
実際に、刈り取ったハッカの葉を野菜の株元に敷いたところ、蒸散したメントールで野菜の葉が焼けたように傷んでしまった、という情報もあります。濃縮されたハッカ油の使用は、植物にとってリスクが高いと言えそうです。
アブラムシ対策としては、効果が不安定で植物を傷めるリスクもあるため、積極的な使用はおすすめできません。

コーヒーでのアブラムシ駆除は可能か

「コーヒーをスプレーするとアブラムシに効く」という話を聞いたことがあるかもしれませんが、この方法も効果については疑問視されています。過去に農林水産省と環境省が合同で行った調査では、コーヒーの成分(カフェイン)によるアブラムシの駆除や忌避の効果は、実用的なレベルではほとんどない、という結果が報告されています。
調査では効果が認められず
その調査では、キュウリに発生したアブラムシにインスタントコーヒーの希釈液を散布しましたが、散布しなかった場合と比較してアブラムシの密度に大きな差は見られませんでした。(参照:農林水産省公式サイト)
コーヒーかすを土にまく方法も、アブラムシへの効果は不明確であり、むしろ土壌が酸性に傾きすぎたり、カビが発生したりするリスクがあります。これらの理由から、アブラムシ対策としてコーヒーを使用することは推奨されません。確実な効果が認められている他の方法を選択するのが賢明です。
アブラムシを全滅させる方法とは?
ここまで様々な自作スプレーを紹介してきましたが、アブラムシは非常に繁殖力が強く、少しでも残っているとすぐに再発してしまいます。では、アブラムシを全滅させる方法はあるのでしょうか。
残念ながら、一度の対策で完全にゼロにすることは非常に困難です。しかし、いくつかの方法を組み合わせることで、限りなくゼロに近い状態を目指すことは可能です。
アブラムシを根絶に近づけるための複合策
- 物理的駆除:発生初期であれば、粘着テープで貼り取ったり、歯ブラシでこすり落とすのが確実です。数が少ないうちに徹底的に取り除きます。
- 天敵の利用:アブラムシの天敵であるテントウムシやヒラタアブなどを活用します。天敵が活動しやすい環境を整えることも大切です。
- 駆除剤の利用:手作りスプレーで対処しきれないほど大量発生した場合は、市販の薬剤を利用するのが最も効果的です。食品由来成分で作られた安全性の高いものから、効果が持続する浸透移行性のものまで様々あります。
- 予防の徹底:駆除後が肝心です。前述のお酢スプレーや木酢液、シルバーマルチなどを活用し、アブラムシが再び発生しにくい環境を維持します。
「これをやれば絶対」という単一の方法はなく、駆除と予防を根気強く繰り返すことが、結果的にアブラムシを全滅に近づける唯一の道と言えるでしょう。
最適なアブラムシ駆除 重曹スプレーの活用法
この記事では、アブラムシ駆除のための様々な方法をご紹介しました。重曹スプレーを中心に、その作り方から注意点、そして他の民間療法との比較を行いました。最後に本記事の要点をまとめます。
- アブラムシ駆除の基本は安全で簡単な重曹スプレー
- 重曹スプレーの作り方は水と重曹に油と洗剤を加えるのがコツ
- 散布後は植物を傷めないよう必ず水で洗い流すことが重要
- 牛乳スプレーも手軽だが散布後の洗浄は必須
- お酢スプレーは殺虫ではなく予防目的の忌避剤として有効
- お酢の濃度を濃くしすぎると植物が枯れる危険がある
- 唐辛子や木酢液も匂いによる忌避効果が期待できる
- 手作りスプレーに農薬のような劇的な即効性はない
- 効果は液体がアブラムシを覆い窒息させることで発揮される
- ハッカ油は効果が不安定で植物に害を与えるリスクがある
- コーヒーによる駆除効果は公的機関の調査で否定されている
- アブラムシを全滅させるには物理的駆除や予防策の組み合わせが不可欠
- 大量発生した場合は食品成分由来の市販薬も検討する
- 最も大切なのはアブラムシが発生しにくい環境を維持すること
- この記事で紹介した方法を参考に最適な対策を見つける
